ブランドの設計は、ただの見た目づくりではありません。事業の芯を見極め、長期的に価値を積み重ねる土台を作る仕事です。かつて食品メーカーのプロジェクトで、「土地の記憶」というテーマを据えてブランドを再構築しました。その結果、半年で売上は4.2倍。数字だけでなく、顧客がその土地の物語に共感し、リピーターが増えたことが何よりの成果でした。旅館では“静けさ”そのものを価値化し、客単価を1.9倍に引き上げたこともあります。
普段から旅を好み、出張先では必ず朝の市場や古書店を訪れます。そこで耳にする会話や並ぶ商品、その土地の匂いまでもが、ブランド設計のヒントになります。昔、SNS映えだけを狙った企画で一時的な売上を作ったことがありましたが、半年後にはリピーターが激減。この失敗が、数字と感情の両輪でブランドを育てるという現在の姿勢につながっています。花火のような一瞬の輝きではなく、じわじわと灯り続けるランプのような存在こそ、私が目指すブランドの形です。